無事、契約締結となり、いよいよステップ 3の輸出入実務となります。
輸出者が、輸入者との契約内容に基づいて、輸出通関申告を行い、船積み終了後に、
1) 商業送り状 (インボイス=Commercial Invoice)
2) 梱包明細書(パッキングリスト=Packing List)
3)船荷証券 (B/L,またはAWB)
4) 保険証券 (Insurance Policy)
などの書類を輸入者へ提示します。
輸出先から原産地証明書を依頼されるケースもあります。これは、商工会議所が、輸出商品は、Made In Japanであることを証明した書類で、輸入地での輸入通関で必要となる国もあります。
BL(Bill of Ladings)とは、船会社が発行する海上輸送貨物を受領したことを証明する有価証券
のこと。手形と同じく裏書によって譲渡可能となる。オリジナル3通それぞれに裏書をして貨物
受取人に郵送し、貨物受取人が現地船会社代理店に提示して、貨物引取りが可能となる。
AWB (Air Waybill=航空貨物運送状)とは、航空会社または混載業者が発行する航空貨物の
受取証のこと。AWBは、船荷証券と異なり有価証券でなく、単なる受取証。短時間で貨物が
目的地に到着し、貨物受取人が裏書をしている時間がなく(国内の宅急便と同じ)、
貨物に必要書類が添付されるためです。
世界全体の貿易振興を目的とし、特定2国(又は地域)間、開発途上国からの輸入関税の
優遇税制の制度があるため、輸出地の商工会議所、もしくは輸入国領事館等が貨物の
原産地の真実性を保証した証明書のこと。

事例1: 輸出通関申告の際に税関から、輸出許可書の提示を求められたケース
外為法による輸出規制は、「輸出貿易管理令(輸出令)」に規定されており、戦略物資として
特定された商品の輸出には、事前の輸出承認申請が必要となります。また、キャッチオール規制や
別表第2掲載の特定貨物、別表第2の2の特定地域など、輸出承認が必要なものもありますので、
事前の許認可申請調査を慎重に行うことが必要となります。
事例2: 航空会社から貨物引受保留となり、危険物申告書の提出を求められたケース
引火性、可燃性貨物、放射性貨物などの危険物を航空機に搭載することは禁じられています。
国連および国際原子力機関が定めた航空輸送細則に準じた航空法(国土交通省令)の条件を
満たした場合に限り、航空貨物として輸送することができます。
そのため、輸送中の安全を確保するため、輸出インボイス以外に、国際航空運送協会(IATA)が
定めた危険物申告書の提出を求められます。輸送する商品の危険度に準じて、梱包容器やラベル
などの輸送手段が取り決められており、詳細を危険物申告書に記載し、運送会社の事前認可を
得ることが必須となります。海上輸送の場合も同様の輸送細則があります。
コストを抑えたいなどの理由から、「保険はどうして必要なのか?」と言う質問をよくうけますので、貨物海上保険のしくみについてご説明したいと思います。
運送人(船会社、航空会社など)は、貨物受け取りから引渡しまで安全に輸送する義務を負っていますが、すべての損害について賠償責任を負っているわけではありません。そのため、貨物保険を掛けることで、荷主は運送約款に係りなく、海上輸送または航空輸送、陸上輸送している間に起こりうる危険から生じる損害(滅失・損傷)の補償を受けることができるのです。
自動車保険や火災保険などのような期間建て契約ではなく、「輸出地A地点倉庫から輸入地B地点倉庫まで」の海上輸送または航空輸送、陸上輸送している間に起こりうる損害を補償される航海建て契約です。
しかし、保険開始時期は、INCOTERMSで規定する危険負担移転時期に準じている点を理解しておく必要があります。FOB条件またはCFR条件の輸入では、本船に積み込まれた時点で輸入者に危険負担移転するため、保険契約上は、輸出地倉庫からの保険開始とならず、輸出者の危険負担が輸入者に移転する本船積み込み時点からとなります。

貿易取引で貨物を海上輸送または航空輸送、陸上輸送している間に起こりうる危険から生じる
損害(滅失・損傷)を補償する保険証券(Insurance Policy)のこと。
運送約款には、運送人の免責条項・責任限度額が細かく規定されており、荷主が運送人から
損害補償をすべて受けられない場合があります。
輸送引き受け貨物の積込み・取扱い・運送・保管・荷揚げなどにおいて、運送人の過失(商業過失)
による貨物損害は、運送人が賠償責任を負いますが、賠償責任の限度額以上は免責とされ
ています。その限度額は海上輸送の場合、666.67SDRまたは総重量 x 2SDR /kgのいずれか、
航空輸送の場合、17SDR /kgとなっています。また、火災・天災・不可抗力・戦争危険など運送人
の過失によらない貨物損害は運送契約上、運送人の免責と認められています。

海上輸送でも航空輸送でも、輸送途上に貨物の紛失、ダメージを受けることは日常茶飯事です。
事例1: 海上コンテナの損失事故
海上コンテナに貨物を積み込み、本船積みされれば自動的に貨物が目的地に配達されると
思われるでしょうが、意外と思われる事故があります。
例えば、コンテナ船が航海途上で遭遇する荒天による事故−台風や低気圧などの悪条件
の時には10メートルを超えるような高波の中を航海する時もあります。
その時に起こるのが、ウオーターハンマーと呼ばれる事故です。
高潮のような波の力で搭載されているコンテナごと流されたり、コンテナの外壁が
障子を破いたようになり、積載貨物が流されたりすることがあります。
事例2: 航空貨物での濡れ事故
航空貨物輸送への需要は高まるばかりですが、目的地到着から実際に貨物荷受人に引渡し
になるまでは、かなりの時間が掛かります。早いところでも航空機到着後2時間程度で、
一般的には5−6時間掛かります。当然、倉庫内保管されますが、屋外移動中の
濡れ事故にあうケースも皆無ではありません。
ワンポイント : 貨物荷受人(Consignee)
船荷証券(BL)または航空送り状(AWB)面に記載されている貨物到着地での貨物受取人の意味。
動詞のConsign=委託する・託送する意味ですが、Consigneeという名詞形で貨物受取人。
事例3: 経由地での貨物事故
航空輸送でも海上輸送でも、コスト削減のため、直行便でなく、経由便を利用する場合がよく
あります。経由地が多くなればなるほど、都度積み下ろし荷役が伴いますので、荷役機器による
貨物損傷事故や貨物確認が遅れ予定便への再登載遅延といった事故がよく発生しています。
海上輸送で生じる可能性のある全ての危険を補填する条件(All Risk Clause)で貨物海上保険を契約しても、事故原因調査で「梱包の不完全による損害事故」と特定された場合、この損害は免責となり、クレーム対象になりません。また、次のような免責事項がありますので、要注意です。
・船舶、航空機のスケジュール遅れによる損害
・輸送期間中の品質劣化など貨物固有の瑕疵または性質による損害
(食品などの腐り、金属製品の錆など)
・輸送期間中に発生した重量または容積の自然消耗(目減り)による損害
(粉体貨物の飛散ロス、水分蒸発など)
事例1: FOB条件またはCFR条件で輸入、輸入者自身が貨物海上保険契約を行ったが、
事故発生原因が輸出地で船積み前に起こったと認定され、保険会社からの
保険求償が受けられなかったケース
輸出地倉庫から本船積み込みまでは、貨物保険の対象外となっていたためです。
輸出地倉庫から本船積み込みまでの保険を付けているかどうか、売買契約交渉のなかで、
輸出者に確認をすることが大事です。
事例2: FOB条件でAIR輸入し、輸入者が貨物海上保険契約をしたが、事故発生原因が
輸出地で航空機搭載前の空港内で起こったと認定され、保険会社からの保険求償が
受けられなかったケース
航空機を利用した取引を想定したFCA条件とすることをお奨めいたします。
INCOTERMSが規定するFOB条件は、海上輸送を想定して、貨物が本船欄干を通過した
時点で輸出者から輸入者へ危険負担が移転すると規定しています。このため、航空輸送で
取引条件をFOBとすると、航空機に搭載された時点で危険負担の移転がされるという
解釈となり、輸出地空港内での事故には、保険対応がされないということになります。
国際取引で起こりうるリスクを少しでも回避するために、物流に見合った契約内容(商流)にすることが大事なことをご理解いただけたかと思います。皆様のビジネスにお役に立ちますことを願っております。
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資料提供:有限会社プロアイズ 吉冨成一
サイトURL:http://www.proeyes.co.jp/
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